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 離島への海上貨物輸送に対するRORO船就航の影響

作成年度 1998年度
論文名 離島への海上貨物輸送に対するRORO船就航の影響
論文名(和訳)
論文副題 平成10年度(港-13)
発表会 平成10年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 平成10年度技術研究発表会
発表年月日 1999/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
窪内篤
福士亮一
佐藤正美
抄録
稚内開発建設部が所管する宗谷支庁には、利尻島(182平方キロメートル)と礼文島(81平方キロメートル)の2島が存在している。利尻島には利尻町と利尻富士町の2町、礼文島には礼文町と、計3町が所在している。他の地方域にある町村と同様に人口は減少してはいるものの、それでも3町に各々4千人強、合計で約13千人が居住している。宗谷地域全体でみた場合、平成6年統計での漁業生産額は337億円で、農業粗生産額の246億円を大きく引き離しており、道内他地域で唯一同様な傾向にある渡島地域と並んで、水産業が基幹産業となっている。農業粗生産額がほぼゼロの離島3町では、特にこの傾向が顕著であり、水産業と漁獲物を原材料とした水産加工業が地域経済の大きな柱である。また、昭和49年に指定された「利尻・礼文・サロベツ国定公園」の一部を形成し、秀峰利尻富士と低高度で独特の高山植物を見ることのできる2島は、観光地としての人気が高く、平成7年度の観光客入り込み数は150万人を数え、第3次産業従事者数が第1次産業従事者数に匹敵していることからも、観光産業が地域経済のもう一方の大きな柱となっていることがわかる。その一方で、第2次産業が水産加工業に特化している当地域では、水産品を除く生活必需品のほとんど全てを他地域からの供給に頼っていることが想定され、本道側(稚内)との間の貨物輸送の大宗を取り扱っているフェリーの取り扱い貨物量は平成7年に200万トンを越えた。この量は3島居住者一人当たり約160トンに達する。仮に平成7年に2島で漁獲された水産物25千トンの全てが島外へ移出されたと仮定しても、相当の量の他の品目が輸送されたものと推測できる。このように、2つの離島に所在する3町住民にとって、域外からの物資輸送は生活を営む上で欠くことできないものであるが、特に生活必需品の輸送に当たってはコストの面からいって、海上輸送が必至である。海上を輸送される貨物のうち、そのほとんどはフェリーで輸送されているのが実態で、これ以外の輸送選択肢としてはこれまで、一般貨物船(第5榮吉丸)が1隻運航しているのみであった。しかも、この一般貨物船によって輸送されていた貨物は、フェリーには積載が難しい危険物、砂、砂利や、鮮魚、建設資材などに限られており、平成7年の輸送実績は約12万トンには達するものの、島民の生活必需品の輸送を行ったとすることが可能な雑貨の輸送量は約2千トンに過ぎない状況であった。こうした状況の中、平成8年4月、稚内と利礼を結ぶ海域に新たにRORO船(六甲エクスプレス)が就航した。当開建では、このRORO船の輸送実績、これまで離島との間の貨物輸送に関して寡占的な地位を占めていたフェリーの輸送実績の変化について調査すると共に、統計資料からこの機に島内物価がどのように変化したのか整理したので、RORO船の就航が当該海域の海上輸送の実態にどのような影響を与えたのかについて、報告するものである。
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