港湾・漁港事業の実施にあたっては、基礎的な現地調査の一環として深浅測量が実施される。測量結果は、構造物の配置や断面設計を行う際に用いられ、また、外力となる波の変形を求めるために利用されるが、砂浜海岸で事業を行う場合には構造物と地形変化の関係を知る上で継続的な深浅測量が必要不可欠となっている。過去、北海道開発局の所管する港湾・漁港では数多くの深浅測量が実施されてきており、成果品は図面の形でそれぞれの事務所・事業所で保管されていた。これらは、北海道周辺の海底地形情報として貴重な資料であるにもかかわらず、波浪データと違って他港への適用性がないために集中的な管理や処理がなされていなかった。しかしながら、標砂問題解析にあたっては個々の事例検討の積み重ねが普遍的な対策立案等に結び付くことから、昭和62年度から深浅図のデジタル化システムの構築にとりかかり、順次、データの蓄積を図ってきたところである。蓄積されたデータは研究目的に利用されるばかりでなく、標砂問題を抱える港湾・漁港の施設整備計画の基礎資料として活用される。港湾研究室では、これまで幾つかの港湾・漁港に対して本システムに付随する各種プログラムによる解析結果を提供してきた。本報は、蓄積されたデータと本システムを広く有効活用して貰うことを目的として、データ集積の現状と解析事例を紹介するものである。 |