近年、漁港整備もしくは公共事業そのものの在り方が問われる中で、漁業を取り巻く情勢もまた、漁獲資源の減少、漁業者の高齢化、漁村の過疎化等非常に厳しい状況にある。とりわけ、後継者不足に起因する漁業就労者の高齢化は極めて深刻な問題であり、漁業白書によると、漁業就労者に占める60歳以上の割合は40%を越えており、全産業平均の14%弱に比べ、高齢化が顕著となっている。このような状況の中で、防風施設は、漁業就労環境の改善に大きな効果が得られており、また、今後ますます量から質への転換が求められるであろう公共施設整備において、投資効果が早期に発現される施設として注目されている。当局の直轄漁港事業においては、これまで、追直漁港の-2.0m物揚場、臼尻漁港の北護岸(防波護岸構造による防風効果)にて施設整備を完了させており、平成10年度からは古平漁港の-4.0m岸壁において、積雪にも配慮した屋根付き防風施設に着工しているところである。本報文では、全国的にも本施設の整備要望が高い状況を踏まえ、直轄漁港事業として先駆的に整備を行ってきた経験を基に、計画から設計、実施に至る標準的な整備手法の構築を意識しながら、今後積極的に防風施設整備を展開していくために解決が必要とされる課題等について提起する。 |