函館港島防波堤は、函館港の港口、水深17~20m付近に建設される延長400mのケーソン式混成堤であり、その海底地盤は、表層約1~2mが、N値=0の極めて軟弱な細砂層で覆われている。当初の基本設計の段階では、この軟弱層を床掘し、割石で置換する工法を検討していたが、①周辺海域が良好な漁場のため海域の汚濁を極力抑えること及び基礎工の施工時期も漁期を外した冬期間に限定されている。②また、全体計画の土量バランス上、余剰土砂のを極力押さえることが望まれていたこと。③さらに、コスト縮減への積極的取り組みが求められていること等を背景として、実施にむけた具体的検討を再考する必要があった。このため、種々検討した結果、無床掘で施工可能な工法として、国内では例がない「基礎捨石突き固め工法」の適用を考えた。本工法は、軟弱層を捨石で覆った後、タンピングハンマーにより所要打撃エネルギーを与え、ダイレイタンシーと間隙水圧消散により地盤強度の増加を図るものであるが、打撃前後の捨石の状況、強度増加、打撃方法と適切な管理手法など未解明な課題も多かった。本報文は、それらの課題を解決するため、実施した試験工事と、さらに、施工上の改良などを加え、良好な結果が得られた一連の本工事の概要について報告するもである。 |