近年、国の行財政改革などと連動して、公共投資のあり方及び社会資本の評価が重要なテーマになっており、今後、プロジェクトを実施する際には分野を問わず費用便益の評価が積極的に取り入れられると予測される。一方、河川法の目的の中に「河川環境の整備と保全」が位置付けられ、近年は環境整備事業や水辺の楽校などの事業が行われているが、従来の費用便益評価により、このような事業の効果を説明することは困難な状況にある。以上のような背景のもと、環境整備の効果など非市場財を貨幣価値に換算し、その事業効果の計測を行う手法が求められている。札内川は、BODによる全国清流河川ランキングにおいて平成3年初めて1位になって以来、平成5年・7年・8年・9年と日本一になっている全国有数の清流河川である。この札内川を対象として、全国的な公共事業の評価手法の確立に寄与し、河川整備計画などにも反映する目的で、平成9年度は流域住民を対象に「清流であること」に対してどの程度の価値が存在するのか、仮想市場法(Contingent Valuation Mothod=CVM)を用いて調査を行った。さらに本調査では対象を流域外住民に拡げて、札内川の清流の価値を調査し、流域住民の評価と比較を行うとともに全国的な規模での札内川の清流価値を問うた。また、徴収方法による支払意思額の違いや個人属性による支払意思額の違いについて考察を加えた。 |