北海道開発庁の推進する「冬トピア事業」を受けて、全道各地にて様々な雪処理施設の整備が展開されている。長沼融雪溝はこうした中、北海道の快適な農山魚村の環境整備と関連産業の振興、農山漁村と都市等との交流の活性化等を目的とした「ニューカントリー構想」の一環として整備され、冬期間における快適な生活空間の創出、円滑な道路環境の維持、産業および生活文化活動を支え、強いては活力ある社会の形成に寄与するものである。本事業は平成8年度から工事に着手し、平成11年12月に全面供用開始となった。融雪溝は国道337号、道道札幌夕張線等を始めとして合計6ルートによって構成され、国、道、町の三者が一体となって進められた。融雪溝の水源は、ローカルエネルギーである温泉排水を二次利用したものであり、これによる面的整備での道路融雪溝としては、道内はもとより全国でもはじめての事例である。したがって、融雪状況や融雪メカニズムなど不明確な点が多い。そこで、これらの点を解消するために、融雪溝設置区間の一部において投雪実験を行った。また供用開始後における融雪溝の利用状況調査を行い、その整備効果を把握した。本稿ではこれらの調査結果について報告する。 |