落石から道路交通網の安全を確保するための構造物として落石覆道がある。この種の構造物には主にRC製とPC製が採用されており、その耐衝撃挙動もこれまでの実験的解析的研究によりほぼ明らかとなっている。特にRC覆道に関しては耐衝撃挙動を考慮した新しい設計法が提案されている。一方、落石覆道の新しい構造形式として軽量かつ高耐荷力で、じん性能に優れている鋼・コンクリート合成構造形式を提案し、その適用性を検討するための実規模重錘落下衝撃実験を実施している。これまでの研究結果から、鋼・コンクリート合成落石覆道は撓化性があることより、落石エネルギーの吸収性が高く、耐衝撃性に優れていることが明らかとなっている。また、本覆道は頂版部および柱部は、工場製作が可能であり、現場にて部材組立後コンクリートの打設を行うハーフプレハブ構造であることから、施工性および経済性にも優れている。既往の研究では、実規模の鋼・コンクリート合成落石覆道供試体を用いた重錘落下衝撃実験によって耐衝撃挙動や高耐荷力、高じん性能を有することを確認してきたが、最終的な破壊形態を確認するまでには至っていない。このことから本研究では、鋼・コンクリート合成落石覆道の終局耐力や破壊形態を確認することを目的として、一組の柱および頂版より構成される実規模供試体を用いた重錘落下衝撃実験を実施した。本文ではその結果について報告する。 |