環境影響評価法の施行など、社会の環境保全に対する意識は高まっており、道路建設においても環境への配慮がますます重要となってきてきる。特に山岳地域を通過する道路では自然環境や景観への配慮が重要であることから、道路法面での樹林植生復元が各地で試みられてきている。施工後1年程度での追跡調査は多数実施されているが、樹木が生育して樹林が復元するには10年以上の年月がかかり、工法の検証と改善検討を行う上ではより長期にわたる調査が必要である。しかし、そのような調査の報告はまだ少なく、今後の樹林化技術の確立のためには長期間を経た箇所での調査データの収集が望まれている。国立公園区域を通過する一般国道273号三国峠では、道路線形改良で残された旧道において、自然環境や道路景観に配慮し、在来種を用いて周辺に見られる樹林植生の復元を図っている。緑化工事は平成6・7年度に実施し、旧道敷については盛土と在来種の苗木植栽を切土、法面については植生を含まない厚層基材のみの吹付工を行った。緑化施工後5年以上が経過した対象地の追跡調査結果から、樹木生育状況、植生の復元状況、工法の問題点と改良すべき点などについて検討した結果を報告する。 |