札幌道路事務所管内は、豪雪地帯であり北海道の中心都市である札幌市が管理区域に入っているため、交通量が多く特に冬季における道路交通の確保の良否は、生活、社会・経済活動に与える影響が大きい。また、近年では日常生活における通勤圏・通学圏の拡大や地域間の物流の拡大、および道外からの観光やスキー人口の増加などから、より安全で確実な冬期道路交通の確保と維持管理が強く求められている現状であり、重要な課題でもある。現在、雪処理方法の大部分は、「ダンプトラックによる運搬と河川敷地への排雪」であるが、近年環境問題から運搬排雪における河川敷地の利用縮小化を迫られ、雪処理問題が深刻化している。他の雪処理方法としては、融雪槽や流雪溝といった融雪施設もあるが、計画を進めている段階である。そこで札幌道路事務所では、市街地における雪堆積場が減少した場合に考慮せざるえない、郊外への運搬排雪の距離増加に伴なう費用を懸念し、費用対効果が高く効率的で周辺環境にやさしい新たな雪処理方法として、車載式大型融雪機による排雪を試験的に実施している。本論文では、車載式大型融雪機の効果を定量的に把握することで、トータルコストの面から運搬排雪と車載式大型融雪機の効率的な施工範囲を確認する目的で実施した、試験施工事例について報告するものである。 |