木チップを使った舗装は、足への負担を軽減する目的で、ジョギングコースや散歩道の舗装として採用されたのが始まりである。日本では1980年頃から使われ始めたと考えられ、日本での動きは北海道教育大学の芝木と杉山により紹介された。これによると、木チップ舗装は、自然の中でのスポーツを重視する北欧で発達し、その工法もチップを敷いただけの簡単なものであった。舗装周辺の自然と融合し、クッション性にすぐれていることが特徴で、千葉県の日本エアロビクスセンターと北海道士別市のランニングコースが、当時の日本の代表的なものとして紹介されている。解放感やストレス解消などの心理的効果と、けがの予防、トレーニング効果の助長などが顕著と指摘している。士別市のランニングコースは、オガクズをアスファルト乳剤で固めたもので、日本のトップレベルの長距離走者に使用された。1990年代には、大阪・鶴見緑地で開催された「EXPO90’国際花と緑の博覧会」のコンテスト花壇の園路で、粉砕した針葉樹樹皮と高分子樹脂を混練し敷きならした舗装が採用された。このころから、木チップ舗装はジョギングコースだけではなく、公園内園路や散策路、景観に配慮した街路などに採用され、各地で目にするようになった。また、工法も多様化し、バインダーを使用して木チップを固化させる工法が増え、更には、あらかじめブロック状に資材を成型しておき、それを現場に敷設していく工法も現れた。バインダーも幾種類かに分かれ、また、骨材に相当する木チップも、製紙用のチップからオガクズ、樹皮、建築解体材と多岐に分かれ、さらに砂やゴムチップなどが添加されたものまである。北海道立林産試験場では、平成8年度から木チップ(建築解体チップ)を舗装資材にする研究を行ってきた。その一環で各地の様々な木チップ舗装を調査してきた。施工地の中には、不適切な施工のために破損が発生しているものもあった。また、多様な工法も整理してみると大きく分類できることが分かった。これまでに木チップ舗装について系統立てて整理した事例が少ないため、ここでは木チップ舗装を整理・分類し、各工法の特徴と施工上の注意点を述べたい。さらに、筆者らがこれまでに開発してきた製品についても、一部紹介する。 |