近年、我が国では兵庫県南部地震、鳥取県西部地震等、橋梁構造物に深刻な被害を及ぼす地震が相次いで発生している。これらの地震において目立つのがRC橋脚柱の被害であり、現在急ピッチで耐震補強が進められている。なお、現在一般的に用いられている、既設RC橋脚の耐震補強設計のフローによれば、新設橋梁と同様に、地震時保有水平耐力法による安全性の照査を満足することが求められている。この条件下で既設橋の補強設計を行った場合、躯体の重量等が過度に増加し、フーチングや杭基礎等の補強まで行わなければならない場合が多数見受けられる。また、開発土木研究所においてこれまでに実施された載荷実験において、橋脚の剛性を過度に高めた場合、損傷部位が橋脚柱からフーチング部に移行する傾向が認められている。そこで、耐震安全性の照査に、道路橋示方書で補足的手法として定められている動的解析法を適用することによって橋脚柱補強量の軽減を図り、フーチング・基礎等への影響を極力少なくすることでコスト縮減を行ったものである。検討を行った発寒高架橋は、一般国道5号に位置し、JR函館本線を跨ぐ橋長441m、橋脚数24基(片車線分)の橋梁であり、昭和46年に架設されている。本橋梁における橋脚の形態は、主鉄筋の段落しを有する長方形断面のRC橋脚であり、現耐震設計基準を満足するために橋脚の耐震補強を行ったものである。 |