近年、海と陸との接点となる海岸・港湾では人が憩えるような空間の整備がなされており、そのひとつの方策として防波堤を市民に解放する親水防波堤の整備が進められている。我が国の浅海域における代表的な防波堤構造の一つである消波ブロック被覆堤は、防波堤の前面に消波ブロックを設置して波力、反射波および越波を低減する機能に優れていることが特徴である。消波ブロック被覆堤の設計においては、消波ブロックの天端高さと直立部の天端高さを同一とするのが一般的である。この構造を親水性防波堤として利用するためには、越波や波の打ち上げに対する利用者の安全確保や消波ブロックに妨げられない眺望や散策の場所を提供できる構造形式が求められる。また防波堤の改良により直立部の天端を嵩上げする場合もあり、消波ブロックの天端高さが直立部の天端高さより低い構造となる場合が生じる。本報告で検討する部分被覆型消波ブロック被覆堤は、防波堤前面の消波ブロックの天端高さを低くすることで、眺望や散策といった親水性の防波堤として利用するものや、防波堤の改良により直立部のみ嵩上げするような場合を想定したものである。また、消波ブロックの天端高さを低くすることが可能となることで建設費コストの低減へもつながることが期待される。本報告では二次元水理模型実験に基づいて、消波ブロックの天端高さと直立部の天端高さが異なる条件についての基本的な水理特性について検討する。 |