国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所

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 重粘土地帯における暗渠排水について

作成年度 1999年度
論文名 重粘土地帯における暗渠排水について
論文名(和訳)
論文副題 平成11年度(農-13)
発表会 平成11年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 平成11年度技術研究発表会
発表年月日 2000/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
斉藤寿志
山口則男
赤松英市
抄録
北海道では、台地及び低地などに重粘土と称される土壌構造の未発達な土壌が広く分布する。本地区(国営農地再編整備事業新下川地区)が位置する下川町においては町全体の耕地面積の40%前後が重粘土で占められる。この土壌の特徴は、細粒質で粘性が強く、堅密で透水性が極めて悪く、排水不良な土壌である。排水は農業全般にわたり大きな影響を与えるため、その改良としては暗渠排水が古くから行われてきた。しかし、北海道は気象条件や大型機械の作業の進展に伴い、その効果についていくつかの課題が生じている。①生産基盤の排水性は間隙構造に影響される。北海道では土壌生成面から作物成育に必要なマクロ間隙が不足し、排水性の劣る耕地が多く存在する。(自然条件に起因)②自然条件の他、土壌の物理的環境により排水の必要性が生ずる。例えば、多水分下における大型機械による営農管理作業は、土壌構造の劣化と土壌の練り返し等によって排水機能の低下が起こる。③この他に、北海道の特殊事情として、融雪期から営農作業までの期間が短いため、余剰水の排除が不十分なことがある。土壌水分が過飽和のまま営農作業が行われる結果、土壌構造の劣化と排水不良の悪循環が引き起こされ、適期農作業に支障を来たす。上記の観点より、北海道のような寒冷地においては、現状の暗渠排水の構造では、大型機械による営農作業体系には不十分であり、暗渠の高度化が切望されている。これらに関し、道立中央農業試験場及び道立林産試験場との共同で北海道の主要樹種であるカラマツの木材チップ(パルプ用チップ材、以下カラマツチップという)を暗渠疎水材へ利用し、その適応性についての試験結果が報告されている。上記のことを踏まえて本町では活性化を展開させるため、地域の特性を生かし未利用資源として森林の間伐材等、小径材の有効利用及び需要の拡大を積極的に推進している。これら地域資源の有効利用は地元の要望も高く、本地区では地元農家要望の高いカラマツチップを用いた暗渠排水を実施し、排水良好な優良農地を目指した区画整理を推進している。本報告は、カラマツチップ疎水材暗渠試験の既往資料の概要を述べ、次いで本地区で施工されたカラマツチップ疎水材暗渠の有効性について現況を報告する。
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