サロマ湖漁港は、オホーツク海とサロマ湖をつなぐ湖口部に位置し、外海と湖内を結ぶ航路となっている。冬期に来襲する流氷の湖内進入を防ぐ施設として、アイスブームが平成6年度より建設され、平成10年度に1,430mが概成した。このアイスブームは湖口部に設置されているため、流氷が去った後は、外海への航路確保の他、湖内結氷の早期開放やアイスブームへの生物付着による浮力低下、波浪による動揺からくる接続金具の摩耗対策のために取り外すことから、アイスブーム保管・維持・管理をスムーズに行える施設整備が急務であり、さらに、サロマ湖内は閉鎖水域であることから湖内水質環境にも配慮する必要があった。このため、施設検討にあたっては水質・環境調査、海水交換の予測を行い、基本構造は閉水域にする必要性から二重矢板式を採用した。保管施設内の水質保全から海水交換が行える透過構造とさせると共に、付着生物侵入を阻止させる目的からフィルター層を備えている。さらに、保管施設内の急な水質悪化に備えて緊急用の通水孔で対応出来る施設となっている。本報文は、保管施設に求められた建設目的と機能を整理し、湖内水質環境にも配慮した構造の計画及び設計について報告するものである。 |