石狩湾新港東地区-10m岸壁は、同港で最も早く昭和56~57年に建設された控え直杭を有する鋼管矢板式岸壁であるが、平成10年度から、液状化の防止と耐震性の向上を目的として改良工事が施されることとなった。断面の一部には鋼管矢板背後の土圧を軽減するため軽量混合処理土工法を採用した。軽量混合処理土工法は、加水してスラリー化させた原料土(浚渫土、建設発生土等)に固化材(セメント)と軽量化材(気泡、発泡ビーズ)を添加・混合して軽量混合処理土を作成し、埋立や埋戻し材等に用いる工法で、上載圧や側圧(土圧)の低減により、沈下量の低減、構造物のスリム化及び液状化の防止にも資するために開発されたものである。石狩湾新港における軽量混合処理土工法の適用にあたっては、原料土として用いる既設岸壁背後からの掘削発生土が、砂分が多く粘性分の少ない土質であり、このような土質での実施例がなく、配合方法も確立されていないこと、また、北海道の冬期の極寒積雪時の施工も初めてであることから、本施工に先立って室内配合試験及び現地の試験施工を行い物理特性及び施工性について検討を行った。本報文は、北海道の港湾・漁港工事では初めての施工となる石狩湾新港の軽量混合処理土工法について、室内試験等による配合決定から本施工までの概要及び、計量混合処理土の物理特性の長期変化とその影響要因を報告するものである。 |