「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」が平成2年6月に公布・施行されて以後、スパイクタイヤによる粉じんによる大気汚染等の環境問題は改善されたが、スパイクタイヤを装着した車両がほとんどなくなった平成4年度の冬期から「つるつる路面」とよばれる非常に滑りやすい路面が頻繁に発生し大きな社会問題となった。そのため道路管理者は、凍結防止剤やすべり止め材の散布などによる路面管理の充実を図ったが、スリップ事故等の冬型事故の増加や都市内交通特性の悪化をもたらしている。一方、罰金規則が適用される前の平成3年度の冬には、札幌圏におけるスパイクタイヤ装着率は約20%であったが、大気汚染に関する環境基準は既にクリアしており、なおかつ「つるつる路面」は発生していなかった。これまで交通研究室では、上記の点に着目しつつ凍結路面室内走行試験機を用いてスタッドレスタイヤやスパイクタイヤの走行が路面状況に与える影響を調査し、スタッドレスタイヤには、路面上の雪氷を磨くことによって路面を非常に滑りやすい状態に変化させる性質を持つことを明らかにした1)が、実際の路面で車両通過台数と路面性状との関係を取りまとめた例はない。そこで、北海道開発土木研究所所有の苫小牧寒地試験道路において、車両走行が路面状況に与える影響について調査を行った。 |