札幌市を流れる豊平川では、洪水時における被害を低減するため、今まで様々な治水対策がとられてきた。それら対策のうち、治水安全度が不足している箇所の河畔林は、年度毎に区間を決め皆伐が実施されてきたが、1990年代後半からは、生態環境に配慮して伐採には間伐が採用されるようになった。ただし、どのように伐採を行えば生態環境への影響を最小限に抑えられるのか、河畔林の生態機能についての評価は未だ十分に検討されていない。そこで、本研究では、河畔林の生態機能の維持に必要な管理指標を抽出するため、河畔林と動物の生息環境との関係を、定量的な評価手法により調査・検討した。調査・検討の対象とする動物としては、鳥類と魚類を選定し、鳥類についてはその生息分布と林分規模や群落構造との関係を、魚類についてはその生息分布や摂食・成長状況と河畔林の有無との関係を、統計的手法により解析した。その結果、鳥類については、河畔林環境区分図との重ね合わせから、河畔林に依存する種が確実に生息し得る林分の規模、及び生息に適当と考えられる群落構造の傾向を示すことができ、魚類については、ヤマメの生息密度や成長状況の観点から、河畔林が分布することの優位性を示すことができた。 |