台地土及び低地土からなる2カ所の重粘土水田において、暗渠排水を併用した圃場整備に伴う作土
(約0-15㎝)と作土下層(約15-30㎝)での土壌物理性の経時変化を調査し、以下の結果を得た。
1)低地土の施工直後の土壌水分張力は台地土よりも低く多水分であった。これは前者での圃場整備
が後者よりも晩秋となり、その間の降雪の影響による可能性があるものと考えられた。
2)圃場整備により台地土と低地土の作土及び作土下層は既往の知見と同様に、圧縮を受けた事が示
された。
3)圃場整備の翌年に、両圃場ともに水稲が作付けされたが、作付け後の土壌物理性の回復は認めら
れなかった。
4)圃場整備後2年目及び3年目には台地土で緑肥とソバが作付けされ、低地土では水稲が連作され
た。栽植後には台地土では圧縮された土層の膨軟化が認められたが、低地土では認められなかっ
た。
5)圃場整備2年後及び3年後では、台地土で暗渠脇の膨軟化が暗渠渠間よりも進んでいたが、低地
土では暗渠施工による土壌物理性の回復効果は明瞭ではなかった。
6)以上より、圃場整備の施工による土壌の圧縮は避けがたいが、施工時の土壌水分に留意する事や
畑作物を栽培することにより、その回復が図られると考えられた。また、暗渠排水が、運土によ
り圧縮された土壌の膨軟化や排水性の確保に不可欠な役割を果たしていると推定された。
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