ラウンドアバウト(環道交通優先の円形交差点)は、信号機が不要でかつ安全性の高い交差点構造として、欧米諸国において既に幅広く運用されており、我が国においても、その本格導入に向けて従来から様々な研究や社会実験が進められている。今般の東日本大震災では、大規模な停電により信号交差点が広範・長期にわたり機能せず道路交通の混乱を助長したことを踏まえ、ラウンドアバウトは「災害に強い交差点」としても期待を集めている。一方、東北や北海道などの積雪寒冷地域への導入にあたっては、圧雪・凍結路面における運転の安全性・円滑性の確保が重要と考えられるため、著者等は、降雪時を含む多様な気象条件及び路面状態時のラウンドアバウトの走行性及び安全性評価を行うべく、2009年秋期と2010年冬期に、苫小牧寒地試験道路において、小型1車線ラウンドアバウトを模擬設置し、走行実験を実施した。被験者16名がドライバーとして参加し、運転挙動計測装置を搭載した試験車両により、乾燥路面状態と圧雪路面状態のラウンドアバウトを運転した。小型1車線ラウンドアバウト区間を走行後のドライバーに対するアンケート結果に基づき、夏冬の走りやすさと安全性の変化を評価した。その結果、圧雪路面状態時のラウンドアバウトの流入部における流入速度は、乾燥路面状態時と比べて低下した。路面状態が悪化した圧雪路面状態においても、平均的な走りやすさ及び安全性を示す評価値ランク4以上が確保された。すなわち、ドライバーは、圧雪路面状態においても、小型1車線ラウンドアバウトの走りやすさと安全性について肯定的な評価を示した。
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