| 冬期に北海道の河川の大部分は結氷し、氷板が水面を覆う。このため氷坂下面に新たな摩擦抵抗が生じ、氷板下の水理状況は夏期とは大きく異なり、鉛直方向に流速分布も夏期とは異なる。[*]流速分布の変化は流量を算定するときに用いる鉛直方向平均流速の推定精度に影響を及ぼす。従来、氷板下の流速分布のモデルとしてはＫ－εモデルが用いられることが多かったが、Tsai1)、Teal2)等は新たにTwo-Power Lawを提案し、氷板下の流速分布を表現した。Two-Power Lawは開水路での指数則（u=umax(z/D)1/mと同様に河床面および氷板下面の境界近傍で不合理な問題を含んでいるが、適当な係数ｍを与えてやれば結氷下の流速分布を非常によく表現することができる。しかし、係数ｍと河床面及び氷板下面の摩擦係数ｆとの関係はあまり明らかでない。[*]本報文では実測の氷板下の流速分布を用いて、河床面と氷板下面の摩擦係数をMajiewskiの方法3)で算出し、Two-Power Lawでの係数ｍと摩擦係数ｆの関係を明らかにし、氷板下の流速分布の推定を行う。また、Two-Power Lawを用いて最適な平均流速推定法の検証を行う。 |
