橋梁の支承部分に免震装置を用いることによって慣性力を低減し、下部構造に伝達される水平力を分散するなど橋の耐震性を向上することが期待されるが、寒冷地においては、免震支承に用いられるゴム材料の低温下における物性値の変化、すなわち剛性の増加が課題点とされる。常温における載荷試験から得られる剛性値のみを基に免震橋を設計した場合には、低温下において剛性が増すことで固有周期は設計上の仮定値よりも短くなり、減衰率も変化する。その結果、慣性力低減の効果が設計時の期待通りに得られない可能性があり、低温下の免震装置の特性値に与える影響を正確に把握することが必要とされる。また、長期間低温下におかれることによってゴムの一部が結晶化するなど物性に関わる変化が起こることも懸念される。[*]本論文では、鉛入りゴム支承と高減衰ゴム支承をとりあげ、低温条件が特性に与える影響を実験によって確認した結果を報告する。低温条件が特性に与える影響すなわち低温の外気下における温度追従、等価剛性及び等価減衰定数の変化、長期間低温下放置による変化を確認した。さらに、これらの実験結果から得られた等価剛性及び等価減衰定数の変化が免震橋に与える影響を検討した。 |