近年、耐衝撃用途のコンクリート構造物の衝撃安全性を向上させるため、コンクリート部材の衝撃応答特性や耐衝撃性に関する研究が盛んに行われている。コンクリート部材の衝撃応答特性や耐衝撃性は衝撃現象が衝突体と被衝突体の相互関係によるものである、コンクリート部材が合成構造体である、材料非線形性を有しているなどのため定量的に把握することが困難であり、RC部材の明確な耐衝撃設計法は未だ設立されていないのが現状である。[*]このような状況のなか、平成7年1月に阪神・淡路大震災が発生し、ライフラインが破滅的な被害を受けた。今回の地震波形の特徴は、従来の多くの地震被害をもたらした海洋地震と異なり直下型であったため、地震波の主波動が比較的急激に発生するいわば衝撃的な波形を示したことである。[*]そこで、本研究ではRC橋脚を模擬した供試体を製作し、横方向衝撃力を作用させて橋脚模型の破壊性状と耐衝撃性を検討している。特に、耐衝撃性は軸方向筋量やせん断補強筋量に影響されるため、これらをパラメータとする供試体を製作し、実験している。また、地震波の方向性を考慮して、軸方向圧縮力と横衝撃力が同時に作用する場合を想定した実験も合わせて行っている。検討は主として、RC橋脚の残留変形と破壊特性に着目して行ったが、今回新たに衝撃荷重測定用に開発した歪ゲージ式のロードセルを内蔵した重錘を実験に用いて、精度の高い計測を行い重錘衝撃力特性を検討した。最後に実験結果を基にRC橋脚の耐衝撃設計法の概念について試案を述べている。 |