平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災により鉄道、道路橋脚が著しい損傷を受け、上部工が落下するなど、ライフラインが壊滅的な被害を被った。今回の地震波は、従来の海洋型地震と異なり、地震波の主波動が急激に卓越するいわば直下型の衝撃的な波形を示したところに特徴がある。[*]そこで既往の研究で、RC橋脚を模擬した供試体に横方向衝撃力を作用させた際の破壊性状と耐衝撃性を検討してきた。合わせて、地震波の方向性を考慮して、圧縮および引張の軸力と横方向衝撃力が同時に作用する場合を想定した実験も行ってきた。その結果、(1)比較的せん断スパン比の大きな橋脚模型(a/d=4以上)でもせん断破壊を示しやすく、耐衝撃性はせん断補強を十分に行った供試体で優れている。(2)軸圧縮力は残留変形量を抑制する一方で破壊を壊滅的にさせる。(3)曲げ破壊型の供試体では重錘の運動量と力積はほぼ等しいが、せん断破壊型ではエネルギー逸散が大きく運動量に比べて力積が小さくなる。(4)衝撃耐力は静的曲げ耐力や静的せん断耐力と同程度であると考えることは安全側である。などが明らかになった。[*]本研究では、せん断スパン比がより小さな(a/d=2以下)橋脚模型について着目し、主として衝撃せん断破壊する際の重錘衝撃力特性および運動量と力積の関係などについて考察を行った。 |