落石防護対策の1つとして建設される落石覆工にはRC製、PC製、鋼製などがある。特にPC覆工ではプレキャスト化が可能であり、品質の確保及び施工の省力化の点から今後利用が増大する構造形式の1つであると考えられる。[*]PC覆工の多くは、主桁の山側壁部支点、柱基部支点をピン支持、主桁一柱の接合部を剛結接合とする逆L型構造が主流となっている。この構造は外的一次不静定であるが、設計落石荷重が大きい場合に対しても断面を小型化して施工可能としたい場合、あるいは岩石崩壊や過度の落石荷重に対する覆工の安全余裕度を向上させたい場合には、多次不静定を有する構造が有利であるものと考えられる。[*]このような観点より、本論文では2支点をすべて固定とする外的三次不静定の構造形式(逆L型構造と区別して、特に門型構造と呼ぶこととする)の適用可能性を検討することを目的として、実規模PC覆工模型を製作して落石時の衝撃挙動特性を把握するための重錘落下衝撃試験を行った。本研究では、落石対策便覧に基づき90cm厚の敷砂を緩衝材として用いた場合の重錘重量W=3ft、落下高さH=10m、に対するPC覆工模型の弾性衝撃応答結果を整理し、逆L型構造に関する実験結果と比較する形で門型構造形式の実構造としての適用性を検討している。 |