近年、北海道では立て続けに大きな地震が発生し、橋梁等にも大きな地震が生じた。中でも橋梁被害の代表的な損壊事例として、鉄筋断落とし部における曲げ及びせん断破壊があげられる。[*]一般に鉄筋コンクリート橋脚では、曲げモーメントが減少する柱中央部から上方において不要となる引張鉄筋をカットし、経済性を向上させる「断落とし」を行っているが、昭和55年以前の耐震基準では、断落とし筋の定着に対して規定が設けられていなかったため、ここが弱点となり被害が集中した。断落とし部においては、曲げによる損傷から脆性的なせん断破壊に移行しやすく、落橋等の致命的な損傷を生じる可能性もある。このため、昭和55年以前の耐震基準で設計された橋脚では、橋脚の変形性能について検討し、適切な耐震性向上策を講ずる必要がある。[*]本文では、断落としの位置を変えたRC橋脚模型を用い、変形挙動に着目した実験の報告をしたものである。結果をまとめると次のようになる。[*](1)断落としを有する供試体では、2δy以降せん断ひび割れは断落とし部に集中して発生した。[*](2)断落としの位置は、耐力及び変形性能に影響を与えることがあり、十分注意する必要がある。 |