現在、PC覆工の多くは、現在主桁の山側壁部支点、柱基部支点をピン支持、主桁-柱の接合部を剛結接合とする逆L型構造が主流となっている。この構造は外的一次不静定構造であり、設計落石荷重が大きい場合に対しても断面を小型化して施工可能としたい場合、あるいは岩石破壊や過度の落石荷重に対して構造体のじん性を向上させたい場合には多次不静定構造が有利であるものと考えられる。[*]このような観点より、本論文では全支点部を固定とする門型構造形式(外的三次不静定)の採用を前提とし、その実用性の可能性を検討することを目的として、実規模門型PC覆工模型を製作して落石時の衝撃挙動の特性を把握するための重錘落下衝撃実験を行い、その弾性衝撃挙動について検討を行った。[*]本研究で得られた結果をまとめると、[*]1)主桁の載荷点部、壁側桁端部曲げモーメントは衝撃力、荷重分担率を適切に評価することにより、静的に算定可能である。しかしながら、柱側桁端部曲げモーメントは静的に算定した値の1/2程度の値となることより、主桁と柱部の接合状態は逆L型の場合と同様、剛結接合状態を仮定できないものと判断される。[*]2)壁側桁端部の曲げモーメント値が載荷点下の値と同程度であることより、門型形式を採用することにより、逆L型形式に比較してPC覆工の小型化やじん性を向上させることが可能であるものと判断される。 |