畑地かんがいに伴う送配水管の敷設工事が行われた畑地では、未施工地の畑地に比べ、作物の生育や収量が低下することがある。そこで、黒色火山性土において、工事直後(直後畑:裸地)および工事後5年経過の畑地(5年畑:秋まき小麦作付中)で土壌断面及び理化学性を隣接する未施工地を対照に調査した。1)工事に伴い土壌が撹乱を受ける幅は、①堀削埋戻し部だけでなく、②重機械作業の仮設道路や資材置場、③堀削した下層土の仮置場、④表土の集積場であり、その幅は、堀削上幅の4倍に達する。2)直後畑:(a)①で表土扱い層および堀削埋戻し層では、未施工地に比べ、粗孔隙や易有効水分孔隙が減少していた。(b)堀削埋戻しが伴わない②および③では、表土扱い層直下に厚さ15~32㎝の盛土層(地盤高調整のための)が存在し、この層も物理性が悪化していた。3)5年畑:表土扱い層でも耕起砕土を受けなかった下部層(Ap2層)やその下の堀削埋戻し層では未施工地に比べ、物理性が悪化し、透水性や保水性の低下が認められた。作物への影響は、工事に伴う運土による土壌物理性の悪化によるものと考えられ、工事後5年経過してもその影響を受けていることが示唆された。 |