道路区画線の特性・運転者の視機能(若年者・高齢者)・路面機能(乾燥・湿潤)を取り上げ、視認距離から視認性の評価を試みた。視認距離の確認は運転中にドライバーが道路区画線の始端あるいは終端を発見した距離とした。実験用の区画線は面積および反射輝度を組み合わせた5種類を用意した。周囲がほぼ真暗なテストコースにおいて、若年者9人、高齢者8人による視認距離判定を行った。被験者は、ロービームを点灯し約20km/hで運転走行。溶融式区画線の85パーセンタイル視認距離は、乾燥路面において65mと(若年者)61m(高齢者)であり、湿潤路面では40m(若年者)と38m(高齢者)であった。乾燥路面では、区画線の反射輝度と面積の増加が、視認距離の延長に与える影響は大きかった。湿潤路面では反射輝度が視認距離に与える影響は小さくなり、面積が与える影響が大きくなった。また、湿潤路面のとき凸型形状が視認距離を延ばす効果があった。高い視機能を持つと思われる若年者群の視認距離は標準あるいは低い視機能と思われる高齢者群より長くなっていた。しかし、両群間の視認距離分布に重なりが多く、視機能と視認距離に関する明確な分析は今後の課題となった。 |