現在、歩道を一部または全部占用して行う建築・土木工事箇所において、歩行者は歩道端あるいは車道上へ迂回誘導されている。歩道端へ誘導される場合、通路幅が狭いことから、車椅子利用者はもとより自転車も安全な通行ができない場合が多い。また、車道へ迂回誘導される場合は、縁石の段差(20cm程度)が原因となり、車椅子、自転車等の通行に大きな障害となる。さらに、高齢者や移動制約者の生活圏域の拡大に伴い、移動線上の障害が少ないバリアフリーのデザインが重要なテーマとなっている。[*]そこで、歩道を一部または、全部占用するような工事箇所において、円滑に誘導出来る「誘導デッキ」の検討を行ってきた。[*]本報文では、現地において誘導用の仮設デッキを設置し、車椅子利用者及び工事担当者に対してヒヤリング調査を行い、誘導デッキ導入の可能性について知見を得た。また、誘導デッキ導入時におけるさまざまな車道幅員について、設置方法・車線運用の検討を行った。その結果、車椅子が2台交差できる幅員として、開口部については2.25m、通路幅は2.Om確保されていれば充分であることが確認できた。しかし、誘導用の仮設デッキについて、誘導路としての機能については確認できたが、裾付に時間を要すること、安全を確保するための車両の誘導方法に課題が残った。 |