兵庫県南部地震の強震記録は短周期の主波動が特徴的で、構造物は数回のパルス的波動で甚大な被害を受けたものと考えられる。平成2年までの鉄筋コンクリート橋脚では、引張鉄筋の不要となる柱中間部より経済性を考慮して断落としを行うため、断落とし部で曲げによる損傷から脆性せん断破壊に移行しやすいことが、著者らの実験により分かっている。本研究では、衝撃的単調載荷実験に続くものとして、衝撃的交番載荷実験を行った。供試体としては、単調載荷実験と同じく、昭和55年度、平成2年度、復旧仕様に準じた小型RC橋脚模型を用いた。最大作用力、最大作用時の変位量、履歴面積に注目した結果、以下のような傾向が見られた。[*]1)単調載荷に比べ、交番時には、エネルギー吸収能、耐力とも減少する傾向がある。昭和55年度仕様の吸収能の低下は大きく、他の仕様では大きくない。また昭和55年度仕様では変形能も下がる。[*]2)交番載荷において両方向の耐力に大きな差はないが、初期載荷方向の逆側への載荷で、載荷時間が短いほど靱性は低下する傾向が見られる。この傾向は、古い仕様ほど大きく、復旧仕様では明瞭ではない。[*]3)交番時においても、昭和55年度仕様、平成2年度仕様、復旧仕様の順に耐力は増加し、載荷時間による差は少ないと考えられる。 |