スパイクタイヤ規制により、粉塵による環境問題は解消されたにも関わらず、スタッドレスタイヤによって路面が磨かれ、特定の気温帯に非常に滑りやすい路面が発生するようになった。この種の路面は一冬の間に頻繁に発生するものではないが、交通流に与える影響、特に交通量と速度との関係に与える影響は大きなものと予想される。本文は昨冬及び夏期に観測した交通現象データを用いて、スパイクタイヤ規制後の夏期及び冬期の交通現象の差異を巨視的交通流理論にもとづき検証したものである。巨視的交通流理論を適用した結果、スパイクタイヤ規制後の冬期の交通流の状態は、夏期に比べ交通容量では、乾燥・湿潤状態では15%、非常に滑りやすい路面では31%減少し、臨界速度も低くなる。また、冬期の渋滞は発生してから回復するまで多くの時間を要する。自由流の状態である程度の高い速度サービスを確保するためには、路面管理のみならず、自動車専用道路系の幹線性をより一層高める道路整備が必要であることが明確になった。さらに、スパイクタイヤ時代の交通流状態を確保するためには、非常にすべりやすい路面を出現させないような適切な路面管理技術を確立する必要性が明らかとなった。 |