北海道などの積雪寒冷地では、冬期間に走行路面の安全性を確保するため、凍結防止剤が散布されている。凍結防止剤中に含まれる塩化物は、スケーリングなどのコンクリート劣化を促進させることが知られているが、北海道においては、本格的に凍結防止剤が散布されてからまだ5年余りで、それによるコンクリート構造物の劣化が顕在化していないため、対策はほとんど行われていない。しかし、散布量は年々増加傾向にあり、コンクリートへの影響が懸念される。[*]従来、諸外国や東北・北陸地方においては塩化ナトリウムが主に散布されているが、北海道においては塩化カルシウムが主に散布されてきた。そのため、本研究室では塩化カルシウム溶液を用いたスケーリング試験を平成7年度から実施してきている。[*]しかし、北海道開発局においては、平成9年度に「冬期路面管理マニュアル(案)」に北海道における凍結防止剤として塩化ナトリウムを使用することが明記されたこともあり、今後は塩化ナトリウムが多く散布されることが予想される。[*]本論文では、コンクリートの品質及び塩化物の種類の違いとスケーリング劣化との関係について検討した。[*]その結果、普通ポルトランドセメントより高炉セメントB種を使用した方が、また塩化カルシウム溶液より塩化ナトリウム溶液を使用した方が、スケーリング劣化が促進されることがわかった。 |