ここ数年の北海道におけるいくつかの大地震によって、土構造物に大きな崩壊が発生しており、これらの地震被害を契機に、道路盛土においても耐震性に関しての検討が進められている。[*]そこで、盛土の強度、浸透水の有無などを変化させて動的遠心模型実験を実施し、盛土の耐震性を検討した。その結果、本実験の範囲内において以下の結論が得られた。①地震時における盛土の安定性には、盛土の強度が大きく影響を与える。盛土の強度が高い場合は、盛土内に浸透水が存在しても大きな崩壊には至らなかった。一方、盛土の強度が低い場合、浸透水が存在すると大きく崩壊する恐れがある。②盛土内に浸透水が存在しない場合、盛土内において加速度が増幅する。その度合いは、入力加速度の大小に依存する。③盛土内に浸透水がある場合、盛土内での加速度増幅が低減あるいは減衰する。この現象は、過剰間隙水圧の上昇と密接な関係があると推測され、過剰間隙水圧比が概ね0.3を越えたケースにおいて発生している。④盛土強度の低いケースにおいて、最大0.6程度の過剰間隙水圧比が生じた。すなわち、液状化には達していないものの、過剰間隙水圧の上昇に伴い有効応力が減少しており、それによって、盛土が大きく変形したものと考えられる。 |