温根沼大橋は、4径間連続鋼鈑桁の側径間に鉛プラグ入り積層ゴム支承を有する免震橋である。[*]設計初期には、免震装置による減衰性能効果を見込まず、A1橋台P4橋脚の水平方向慣性力の分担を約5%に、P1~P3橋脚の水平方向慣性力の分担を約30%とする考え方が採られていたが、その後、道路橋の免震設計法ガイドライン(案)が提案されたのを受け、設計を再度見直している。震度法による耐震設計では免震装置の変位は3.7cm、橋の固有周期は0.92secであり、地震時保有水平耐力法による耐震設計(タイプⅠ)では、免震装置の変化は、15.Ocm、橋の固有周期は1.18secである。免震支承の橋軸直角方向の動きはサイドブロックによって拘束されており、橋軸方向にのみ免震の効果が働く構造である。[*]本橋では、1994年に北海道東方沖地震の10月4日の本震および8月31日の前震の測定記録が得られた。[*]本震はM8.1前震はM6.4、震央はほぼ同位置で△≒100km、深さは本震が約30km、前震が約90kmとされている。この地震は、本橋にとってL1地震動相当の影響を与える強度を有していたと考えられるが、本論文では、記録をもとに構造物の挙動の周期特性と伝達特性を分析し、震度法の設計の際に想定した程度の免震の効果が得られたか否かを考察する。 |