近年公共事業の縮減が進む中で、如何にして建設コストを縮減していくかが、これからの土木構造物の重要課題の一つであると考えられる。その中でもコンクリートは土木構造物の主材料としての使用割合が非常に高く、この基本材料の単価を下げることはコスト縮減に大きく貢献するものと思われる。[*]これまでのコンクリートに関しては再三骨材、ガラスチップ等のリサイクル材を用いた研究が行なわれているが、リサイクル品の中でも、今回取り上げた、缶ジュース等に使用されている空き缶は回収率が非常に高く、また、加工がしやすいという利点がある。さらに缶自体もそれほど高価ではないため、コンクリートの強度増進に効果があれば貧配合のコンクリートと併用する事により、コンクリートのコスト縮減が可能であると思われる。また、スチール自体の性質を利用し、現在無筋コンクリートを使用している重力式擁壁などの、破壊靭性を上げることが可能となれば多目的で効果的に利用できるものと思われる。[*]そこで本論文では、スチール空き缶を用いたコンクリートについて、特に曲げ強度に対する靭性を把握することを目的として材料幅、混入量を変えた供試体を製作し、各強度試験を行なった。 |