火山灰は小樽港の防波堤コンクリートなど古くからコンクリートに利用され、コンクリートの長期
的な耐久性の向上が期待される天然のポゾランである。しかし、火山灰をコンクリートに利用するた
めの配合設計法や製造法が整備されておらず、近年では、コンクリート用混和材料として火山灰を利
用した事例はない。
本研究では、火山灰の活用によるコンクリートの耐久性向上を目的として、火山灰の特性と反応性
について整理するとともに、火山灰を用いたコンクリートの物性や耐久性について検討を行った。そ
の結果、北海道内各地から採取した25種類の火山灰はいずれもポゾラン反応性ありと評価された。ま
た、水セメント比一定の条件下で細骨材容積の30%を火山灰で置換した場合、火山灰を用いたコンク
リートは強度発現や塩化物イオンの浸透抵抗性が向上し、火山灰のポゾラン反応による効果を確認し
た。さらに、コンクリート工場製品への利用の観点から、コンクリートの設計基準強度を30N/mm2
に設定して評価した場合、火山灰を用いたコンクリートは凍結融解抵抗性が向上することや、その他
の性質は通常のコンクリートと同程度の性能を有することを確認し、積雪寒冷地で使用するコンクリ
ート製品に火山灰を利用できることを示した。
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