地域で産業廃棄物となっているホタテ貝殻を、暗渠埋戻しの資材として有効利用するため、その耐久性と排水の水質等について調査を行った。試験圃場は1)施工後4年目の鉱質土と2)施工後1年目の泥炭土(約20cm客土)の草地であった。鉱質土では、埋戻し資材に破砕処理の異なる貝殻を用いた3区(4cm区、8cm区、未破砕区)を、また泥炭土では未破砕貝殻(以下、ホタテ区)、埋木チップ十ホタテ貝殻(以下、チップ区)、ササ混入量と貝殻の強度をしらべた。後者では埋戻し部と未攪乱部の泥炭の物理性と暗渠管からの排水(毎月1回)を調べた。結果は1)鉱質土:埋戻し資材への土砂混入量は4cm区>8cm区>未破砕区であった。貝殻の載荷強度は、埋設4年後で4cm区<8cm区<未破砕区であった。2)泥炭土①土壌物理性:全試験区で暗渠の埋戻し泥炭部とそれに隣接する未攪乱部の容積重は0.11~0.27Mgm-3で小さく、透水係数も10-3~10-4cms-1であった。②排水の水質:pHは対照区に比ベホタテ区、チップ区で各時期とも高かった。ECはホタテ区とチップ区:0.38~0.70dSm-1、対照区:0.12~0.17dSm-1であった。Ca濃度は対照区の5~20mg/lに比べ、貝殼を使用した両区で58~125㎎/lと高く、貝殻の溶出を示した。また、ECとCa濃度はともに経時約に低下する傾向にあった。以上の結果から埋戻し疎水材としての貝殻は土砂の混入防止や耐久性の点で破砕しないものが優れると考えられた。なお、埋戻し資材としての貝殼の溶出については今後の残された課題である。 |