積雪地域の山岳部や海岸部の急峻な地形に設けられた道路には、落石や雪崩等の災害に対する防災施設としてスノーシェッドが数多く設置されている。スノーシェッドは主として雪崩対策として設置されているため、ロックシェッドに比べて設計上考慮する荷重が小さく、鋼製覆道が数多く設置されている。鋼製覆道は、経年変化によって頂版の鋼材が腐食した場合には耐力が大幅に低下するため、何らかの補強を速やかに行う必要がある。一方、防災点検によって、より大きな落石荷重を考慮すべき状況が生じることも予想されることから、鋼製覆道を総合的な観点から補強できる工法の確立が望まれている。[*]本研究は、鋼製覆道の総合的な耐衝撃補強法を提案することを目的としている。著者らは、落石覆道用の緩衝構造として、敷砂に替わり落石衝撃力を大幅に低減可能な三層緩衝構造(TLAS)を開発した。これを用いることにより、鋼製覆道の耐衝撃性を格段に向上させることが可能と考えられる。しかしながら、落石覆道用のTLASは大きな衝撃力を想定しているため、芯材RC版厚が20cm以上で全体厚さも120㎝程度と大規模になる。一方、既存の鋼製覆道の敷砂厚は30cm~50cm程度であり、これに対応して鋼製覆道用のTLASもより薄くすることが望まれる。そこで、本研究では、鋼製覆道に適したTLAS構造を決定する目的で鋼製覆道頂版模型を用いた衝撃実験を行った。 |