落石から道路及び交通車両を防護する落石覆工は、片側面に大きな開口部を有している。そのため、覆工頂版に作用した落石衝撃力の一部は開口部間の柱部に伝達され、柱部には衝撃的なモーメントや軸圧縮力及びせん断力が作用することとなる。一般に、既存の落石覆工の柱部の帯鉄筋量は0.1%程度であり、外力が衝撃的に作用する場合には、この値は十分な補強量とは言いがたいと考えられる。本研究は、新素材繊維巻き付け補強に着目し、軸衝撃力を受けるRC柱模型に適用した場合の補強効果を定量的に検討したものである。新素材繊維はアラミド繊維並びに炭素繊維製のテープを用い、繊維材料の特性と補強効果の関係の比較検討、繊維の巻き付け間隔や層数を変化させ、補強効果に与える影響を検討した。さらに、柱隅角部の面取り長さを変化させ、その影響も合わせて検討している。新素材繊維製テープ巻き付けによるRC柱の耐衝撃性向上効果を示す指標として、RC柱が破壊に至るまでの重錘の累積運動エネルギー及び最大重錘衝撃力に着目し、繊維材料の特性と補強量に対応した補強効果の評価式を提案した。[*]その結果、(1)新素材繊維を密な間隔で多層数巻き付けることで、より安定した高い補強効果が期待でき、これは面取り長さには影響されない。(2)新素材繊維巻き付けによる最大重錘衝撃力(重錘荷重下における圧縮耐力を示す指標)向上効果は、ばらつきが大きいものの算定式でおおむね評価できる。(3)重錘の累積エネルギー(圧縮靭性を示す指標)は、繊維の体積補強割合に比例して線形的に向上する等が明らかになった。 |