落石覆道は、道路防災工の中で最も多くの建設費を要するものである一方、尊い人命を落石災害から守る、極めて重要かつ適切な道路構造物である。それ故に、安全かつ経済的な設計法の確立が望まれている構造物の一つであると考えられる。このような観点のもとで本研究では、覆道が実際には3次元構造物であることから、落石荷重の作用位置によって断面力が異なることが明らかであり、地震時の動的応対と同じように、覆道自体の固有周期が載荷時間に近いため、動的(衝撃)応答倍率も考慮するのが重要であるとの認識に立ち、DYNA3Dを用いて、断面方向載荷分布幅、軸方向載荷分布幅、および荷重載荷時間をパラメータとして解析を行った。また、実覆道のこれまでの被災例を検証すると、頂版部の損傷とあわせて柱部材のせん断破壊が比較的多かったことから、RC柱模型を用いた軸衝撃実験により、耐衝撃挙動に及ぼす帯鉄筋の影響の検討を行った。その結果、1)断面力評価に関しては、任意の載荷位置に関する静的解析に対する応答倍率、すなわち実応力値に関する最大包絡線分布を求めることができた。また、設計を簡便にするための動的応答値を考慮した単位荷重断面力算出表を作成した。2)柱の帯鉄筋は、0.2%程度でも衝撃荷重載荷に対して耐荷力向上および損傷抑制効果があることなどが明らかとなった。 |