本論文は、長万部橋架け替え計画に際し、架設地点が軟弱地盤であることから、上部工死荷重を低減して基礎構造の規模縮小を図ることが、橋梁全体のコスト縮減に繋がると考え検討を行ったものである。鋼橋における上部工死荷重の内、RC床版の占める割合は大きい。そのため、剛性は変えずに床板厚を薄くできるサンドイッチ版を床版として採用することを考えた。この床版は、RC床版に比べて2割程度以上薄くて軽い。[*]また、主桁とはボルトで留められて合成桁構造となり、主桁断面を小さくできるほか、引張力に対する抵抗も問題ないため、連続桁形式としても中間支点上の負の曲げモーメントに応じた設計が可能である。このように上部工死荷重の軽減を図るほか、主桁下面に外ケーブルを用いて上部構造のたわみ剛性を向上させること、低コストで維持補修が容易な改良型埋設ジョイントを用いることなどを検討し、橋梁全体としてのコストパフォーマンスの向上を検討した。これらの検討の結果、本橋においては従来に比べて2割程度のコスト縮減になると考えられる。但し、本橋の場合には、基礎工の規模縮小は為されたものの、下部工の高さが低く、下部工躯体自体への影響は小さかった。躯体高さが大きな場合には、基礎工および下部工に対して、さらに大きな効果が得られると考えられる。 |