コンクリート構造物が地震や経年劣化等による原因で、健全性・耐久性が損なわれた場合その損傷場所およびその変状の程度を早期に捉える事ができれば、補修または維持管理が早期に可能となり、構造物自体の安全性・信頼性を大きく向上させることができる。従来、コンクリート構造物の変状の程度・進展を監視するための手法として、ひずみゲージなどの電気的なセンサによる計測が一般的であった。しかしこれらの技術を用いて構造物全体の変状を連続的に把握するためには、多くのセンサを必要とするため、現状では比較的大きな変状が発生する位置を想定し、数点のひずみゲージなどの点在型センサを用いている。しかし、これらは代表的な点であって、構造物全体の診断には至らず、広範囲で連続的な監視は極めて困難であった。近年、ひずみゲージに替わる手法として、光ファイバ自体をセンサとしてひずみを測定する、OTDRを用いた分布型光ファイバセンサが注目されている。この手法は長距離で連続的なひずみ計測が可能という利点がある。本論では、この利点を生かし、コンクリート構造物の連続的な監視手段として考え、基礎的な実験を行った結果を述べると供に、コンクリート構造物の変状観測を行う上での課題を述べる。 |