日本における交通事故は年々増加傾向にあり、年間で70万件以上の人身事故が発生している。死者数については減少傾向にあるものの、年間約1万人が犠牲となっている。このような状況の中で北海道における事故をみると、事故件数、死者数ともにここ数年増加傾向にある。特に北海道においては人口当たりの死者数が多いことが問題となっており、年間約600名が犠牲となっている。北海道は、広大な土地に都市が点在しており、かつ鉄道網が貧弱であることから車の利用頻度が高いこと、寒冷かつ積雪地域であるにも関わらず570万人もの人々が居住していることなど交通事情の特殊性により、交通事故においては他地域と比較して事故率は低いものの致死率が高く、結果として死者が多くなっていることが特徴となっている。また、高速道路の整備率も低いこともあって、一般道路(特に対面2車線道路)における正面衝突、工作物衝突、路外逸脱など、車両が車線から逸脱することによる事故が多発しており、特に一般国道においては1991~1995年の5ヶ年でみると、事故件数で46.8%、死者数で58.0%と高い割合を占めている。このため道路交通の重大事故の減少にとって、一般道路における有効な車線逸脱防止対策が非常に期待されるものとなっている。これらのことから、車線逸脱防止のための対策として、積雪寒冷地においても実用可能な路車間の情報伝達により車線逸脱を防止する、レーンマーカー方式による車線逸脱防止装置の開発を試み、実験を行った。その結果、積雪寒冷地においても実用可能な車線逸脱防止装置であることを確認した。 |