大型機械による農作業の安全性と効率性および土壌侵食防止のために畑地・草地の地形修正が実施されるが、その必要性とそれに伴う土壌性状の変化を土壌保全の観点から論じた。地形修正は比較的狭い範囲内での圃場の凹凸を修正する均平作業と、大規模な切土と盛土により行われる傾斜改良作業に大別される。[*]1 均平作業ではその回数の増加に伴い、作土での容積重と増加と粗孔隙量の減少を伴う、土壌圧縮が生じた。[*]2 中・細粒質な土壌では改良山成り工造成での表土扱い作業により、造成後の作土はそれが由来する未耕地のA層やB層よりも圧縮された。適度な土壌水分で耕起砕土が実施されれば、粗孔隙量は即座に回復したが、易有効水分孔隙量の回復には数年を要した。[*]また、土壌水分の高い時に運土された圃場での易有効水分孔隙量の回復は遅かった。このような孔隙の変化は土壌の微細構造の変化と対応していた。粗粒質な土壌では表土扱いによる土壌圧縮は生じなかった。したがって、中・細粒質な土壌での運土作業は土壌が乾燥している時に実施する必要がある。[*]3 緩傾斜の圃場でも斜面長が長くなると、表面流去水の掃流力が大きくなり、土壌侵食が大きくなる。したがって、適度な斜面長とすると共に、土壌の浸透能を高める方策が侵食抑制の観点から必要である。 |