深さ1m以上の泥炭土からなり、約10㎝の客土がなされた造成3年後と16年後の草地圃場で、客土層直下の泥炭層(01層)およびその下部の泥炭層(02層)の物理性と組織構造を調査した。1)両圃場の表層約25cmを占める01層および02層の主要な構成植物は、ホロムイスゲで、そのvon Post法分解度は3年圃場でH2~H3、16年圃場でH6であり、造成後の経過年数の長い圃場で分解・変質が進んだ。2)3年圃場01層の水平方向の組織構造では植生の組織全体が押し潰された状態で認められるが、16年圃場では、シュロ毛状の繊維が多く、中に黒く光沢のある物質が認められた。3年圃場の垂直方向の組織構造では紙を重ねたような累層状態が認められるが、16年圃場では累層状態が明瞭でなく、黒く光沢のある物質が点在した。3)3年圃場の01層の容積重は0.14g㎝-3であるが、16年圃場では約1.5倍の0.22g㎝-3に固相率は0.05㎝3㎝-3から約2倍の0.11㎝3㎝-3に、難有効水分孔隙(pF:3.0-4.2)量は0.08㎝3㎝-3から約2倍に増加したが、易有効水分孔隙(pF:1.8-3.0)量は0.38㎝3㎝-3からほぼ半減した。4)両圃場の01層の強熱減量は約0.85gg-1であった。16年圃場の01層の繊維含量は3年圃場の01層よりも明らかに少なく、繊維の分解を示し、von Post法での分解度が大きいことと一致した。5)調査時の16年圃場の土壌水分張力は3年圃場よりも高く、乾燥していた。6)以上のことは、01層では造成後、泥炭が脱水収縮だけでなく、分解・変質も進行したことを示した。 |