土壌微生物活性の指標であるα-グルコシダーゼ活性を、乳牛スラリーを標準施容量の2.5倍程度施用した室内実験で測定し、スラリーばっ気と施用法の影響を調べた。[*]無ばっ気スラリーを土壌に混和すると、α-グルコシダーゼ活性は急激に上昇し、その後は速やかに低下して約2ヵ月後には混和前と同程度に戻った。ばっ気スラリーでは活性の変化はなかった。これは微生物の栄養源となる易分解性有機物が、ばっ気により分解されたためと考えられた。ばっ気の影響は、混和直後に明瞭であるが長期的にはほとんど生じないと考えられた。またバイオマス窒素はスラリー混和によりやや増加したが、ばっ気の有無による明確な差はなかった。[*]土壌カラムに無ばっ気スラリーを表面施用してかん水をした。土壌表面に膜状に残存したスラリー残渣では、α-グルコシダーゼ活性は非常に高い値であった。しかし土壌の活性は、スラリー残渣と接している部分(深さ0~2.5㎝)でやや高くなる傾向があったものの、それより下部ではほとんど影響がなかった。この現象は、スラリーに由来する硝酸態窒素がカラム底部まで浸透したことと対照的であった。したがって、表面施用は混和に比べて、スラリー施用の影響が少ないことが明らかになった。 |