著者らは、これまで正弦波加振および半波の衝撃波を与える実験において、鋼製免震支承の免振構造としての有用性を検証してきた。しかしながら、実際の地震動は複雑で多様な特性を有しているので、単純な調和波形が続く場合や、振幅の大きい1/2~1サイクルの波のみで完全に模擬できるものではなく入力の振幅や周期が変化することと、構造がそれに追従呼応する過渡振動の様相についても知ることが必要と考えられる。本論文では、上部構造に相当するマスと鋼製免震支承によって構成する供試体を用いて振動台上でランダムに加振する実験を行い、その結果から、非線形動的解析と等価線形法によって加振時の供試体挙動を再現することを試み、理論式に用いる定数を求めている。実験および検討の結果、次の事項が確認された。1)鋼製免震支承の理論式に用いるテフロンの摩擦係数は0.1である。2)非線形動的解析では、摩擦係数の速度依存性を表すために粘性係数を見込んだ方がよい。3)等価線形法による変位応答値は、実験や動解の値よりも大きめの値となる。これは、設計する際には安全側となる。4)履歴曲線が矩形に近い形状で、その減衰性能は等価線形仮定による評価よりも高くなる。 |