北日本沿岸の開放性浅海砂浜域には、ウバガイ、エゾバカガイ等の潜砂性二枚貝が生息しているが、稚貝段階での著しい減耗が増殖の障害となっている。この原因として冬季の高波浪により砂中から放出され、流れによる振動や生存不可能な場所への移流が指摘されている。本研究は、任意波形振動流装置を用い、非対称振動流場(非対象比A=0、0.1、0.2)での砂漣形成時の地形変化強度Vと最大浸食速度Vemにっいてシールズ数Ψ等との定量的関係を明らかにした。その結果、①Vは非対称比が大きい方が大きい。②Vemは非対称比を考慮した最大流速によるΨを用いることで、UpとDownの違いがなく、対象振動流の結果とほぼ一致する。③VemはA=0,0より0.2の方が大きい。④Vemは、平坦床からと砂漣形成後からA=0.2を作用させた場合とでは大きな違いはなかった。⑤Vemの場所的発生確率は、A=0.2が0,0の約2倍と非対称比が大きい方が大きい。⑥最大浸食速度の発生確率を50%発生確率の最大浸食速度Ve50とその傾きKで代表させると、Ve50とシールズ数は直線関係にあり非対称比が大きい方が大きくなる。Ve50とKの積とシールズ数Ψの関係が一定となり、対象振動流とほぼ一致する。 |