トンネルでは、二次覆工コンクリートにひび割れが確認された例が幾つかある。中でもトンネル天端部に縦断方向へ伸びるひび割れは、変状トンネル対策に関するマニュアル等で、偏荷重や脚部沈下などの外荷重により発生するパターンとされており(鉄道総合技術研究所,1998)、問題視された。事例検証(支保荷重やコンクリート応力等の調査・計測)より、外力の影響ばかりでなく、温度応力や乾燥収縮に起因するケースもあると考えられた(中井ら、1998)。[*]ただし、ひび割れは坑口付近の無筋区間に比較的多く発生していたり、冬期施工箇所に多く見られたことから、その発生原因について、断熱材の設置や気温条件など寒冷地特有の状況を考慮し、事例や数値解析、模型実験等を行って検討を加えた。[*]トンネルの天端部で縦断方向に伸びるひび割れの発生原因は、実状調査、解析的検討等から、温度応力や乾燥収縮に起因するものと推定された。自重やコンクリート強度も影響因子に挙げられ、特に北海道の地域性に着目すれぱ、打込みや脱型後の温度条件(断熱材等の影響も含む)の影響が大きいと考えられた。[*]今後、現行トンネルのひび割れ調査、今後施行予定のトンネルの施工~完成までの調査・計測、鋼繊維コンクリートや金網等の使用や、コンクリートの品質改良などの試験施工などが必要となろう。 |