積雪寒冷地の冬期道路では、滑りやすい雪氷路面に加えて、降雪や吹雪時による視程障害がしばしば発生する。このような視程障害は交通障害のほか、事故の誘因や拡大化を招くなど、その克服が大きな課題となっている。特に、近年では多数の車両が関係する多重衝突事故が頻発している。本報告では、冬期道路における障害物回避行動という観点から、試験道路において実施した被験者走行実験について報告する。被験者を用いた試験道路および供用道路での走行実験の結果から、1)障害物回避行動に伴う減速は高齢者ほど顕著である、2)特に高齢者では障害物回避行動時に減速動作を伴うことが多い、3)障害物回避行動時のアクセル操作は高齢者不安定であり、障害物の回避が大きな負担となっている可能性がある、4)高齢者では前方の道路状況の変化に敏感に反応する結果として、急制動を伴う頻度が高い、5)交差点部におけるブレーキ開始位置は、高齢者ほどバラツキが大きく個人差も大きい、といった結果が得られた。また、ドライバーへの障害物清報提供に関する走行実験からは、1)障害物情報を与えることによって、回避に伴う減速行動の個人差が低減される、2)吹雪時や見通しの利かないカーブ区間においては、障害物情報はドライバーのアクヤル操作の安定性に寄与する、といった結果が得られた。事故を防止する方法としては、吹雪時でも確実に停止車両を検知して後続車に警告するシステムの開発が望まれる。 |